ナデシコとは
ナデシコは、ナデシコ科ナデシコ属(Dianthus)に分類される多年草。原産国はヨーロッパ、アジア、アフリカで、北半球地域を中心に約300種類が分布しています。和名は撫子、英名はPink。日本の女性を象徴する言葉である「大和撫子」はこのナデシコから取られた言葉です。
日本では、「カワラナデシコ(学名:Dianthus superbus var.longicalycinus)」や「ハマナデシコ」「タツタナデシコ」「ヒゲナデシコ」の4種類が古くから自生しています。
開花期は5~9月、丈は20~80㎝程度で、中輪の大きさの花を咲かせます。品種よっては四季咲きのものも多く、通年に渡り鑑賞できるとされており、耐寒性が強く花壇や鉢植え以外に、切り花として利用されることもあります。
ナデシコは古く「万葉集」から読まれており、秋の季語として扱われることでも有名。「枕草子」では、「草の花はなでしこ、唐のはさらなり やまともめでたし」とあり、当時の貴族に愛玩されたことがうかがえます。
ナデシコは秋の七草のひとつにも数えられますが、秋の七草は、万葉集に詠まれた「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝顔の花」がもとになっています。(「朝顔の花」は、現在の朝顔ではなく桔梗のことだといわれています。)
また、豆知識にはなりますが、母の日に贈られる「カーネーション」は、「ナデシコ」の一種である「セキチク」などを交配させて作った品種です。
ナデシコは、テレビや音楽などのエンターテイメントでも名称がよく用いられており、小泉今日子さんの1984年ヒット曲「やまとなでしこ七変化」、松嶋菜々子さん主演の2000年の主演ドラマの「やまとなでしこ」などがそれに該当します。
そしてナデシコは、5月29日、6月7日、7月14日、7月15日、7月22日、7月28日、7月30日、8月20日、9月4日、9月11日、10月25日、11月10日と多くの日にちの誕生花としても設定されている、日本でとてもメジャーな花の1つです。
ナデシコの語源(名前の由来)
和名ナデシコは漢字では「撫子」と書きます。これは淡いピンク色の可憐な花を小さな子に例え、糸が無数に集まったような花姿が思わず撫でたいほど可愛らしいことから「撫でし子」となった説が有力とされています。
学名の属名であるDianthus(ディアンサス)は、ギリシア語のDios(ゼウス)とanthos(花)が合わさって名付けられました。
ナデシコの花言葉 | 怖い意味
ナデシコの全般な花言葉は、「無邪気」、「貞操」、「貞節」、「純愛」。
英名の花言葉は、「boldness(大胆)」。西洋では赤い撫子が一般的だからだと言われており、赤い→派手→大胆といった理由が由来です。
また、ナデシコの一種であるムシトリナデシコの花言葉は「未練」、「誘惑」、「罠」、「しつこさ」となっており、良い印象の強いナデシコでも、種類によって怖く悪い印象を持つ点に注意が必要です。
ナデシコの色別の花言葉
ナデシコには、色別の花言葉が下記のとおり存在します。
白のナデシコの花言葉
白のナデシコの花言葉は、「器用」、「才能」。
西洋での花言葉は、「ingeniousness(器用)」、「talent(才能)」です。
ピンクのナデシコの花言葉
ピンクのナデシコの花言葉は、「純粋な愛」「純愛」。
西洋の花言葉は、「pure love(純粋な愛)」です。
赤のナデシコの花言葉
赤のナデシコの花言葉は、「純粋で燃えるような愛」、「「燃えるような愛」、「大胆」。
西洋の花言葉は、double(八重咲き)「pure and ardent love(純粋で燃えるような愛)」です。
ナデシコの種類
ナデシコの主な種類は下記の通りです。
カワラナデシコ:日本各地に自生している代表品種で、「ヤマトナデシコ」ともいわれています。秋の七草のナデシコは本種をさしています。やさしい草姿で、花弁に深い切れ込みが入ります。
ヒゲナデシコ:ヨーロッパ原産。苞の先端がひげのように伸びていることから、この名がつきました。茎の先端に多数の小花が集まって咲く、アメリカナデシコとも呼ばれています。
タツタナデシコ:蛇の目模様のある花が特徴。ヨーロッパに分布するナデシコ科の多年草で、カーネーションなどの品種の親であるともいわれています。4月から5月にかけて開花します。
ヒメナデシコ:ヨーロッパ原産の小型種。繊細な草姿で草丈が低く、秋になると鮮やかな紫色の花を咲かせます。欧米では人気の品種で、発芽しやすく、こぼれダネでもよくふえます。
セキチク:平安時代に中国から渡ってきた品種で、葉の形が竹に似ていることから名付けられました。開花時期が長く四季を楽しむことができ、「唐撫子(カラナデシコ)」ともよばれます。セキチクの改良品種である「常夏」は日本でも園芸が流行がした江戸時代に流行したといわれています。
伊勢ナデシコ:江戸時代の園芸ブームで人気となった植物の一つが「伊勢ナデシコ」。花弁の先が細く裂け、長く垂れている姿を幽玄と表現する人もおり、独特な印象を持つ品種で、カワラナデシコ」と「セキチク」を交配させて作られました。
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